活動日の10月30日、弁天池はこんなに透明で、池底に水草が生えているのがよく見えました。写真でいちばん目立つ茂みは、水草調査の人によると、ミクリかナガエミクリだそうです(ここでは両方をまとめてミクリと書きます)。ちなみに、奥の短くて黒っぽく見える茂みはイノカシラフラスコモだそうです。
もっと美しく見えるように、1週間後の活動日に、池に下りる坂の途中から撮ってみました。これらの水草は、水が澄んで、池底で眠っていた種子(イノカシラフラスコモは胞子)に日光が届くようになったので芽生えたのでしょうが、抽水植物のミクリが水深1メートル以上の池底に茂るのは意外でした。そこで、弁天橋の脇の茂みを水中カメラで撮影してみました。
それがこの写真で、細長い葉は確かにミクリのようです。ミクリは抽水植物ですが、小さいときは沈水植物として育ちます。そして、ある程度生長すると、しっかりした茎を空中まで伸ばし、そこに雌花と雄花を咲かせ、クリのイガのような形の実を付けます。ミクリは漢字で書くと「実栗」です。
気になるのは、これだけ茂ったミクリが今後、茎を水の外まで伸ばして、種子を作るのかどうかです。今年は沈水植物のまま枯れそうです。多年草らしいので、来年も伸びてくるでしょうが、種子を作れなければジリ貧です。最初のかいぼりの後に七井橋脇の水中に芽生えたミクリは結局姿を消してしまいました。
実は、神田川の上流部にはミクリが生えています(ミクリもナガエミクリもあります)。小さいときは沈水植物として流れに身をまかせ、生長すると流れに負けず立ち上がり、抽水植物となって実を着けるのを見ると、ミクリがいちばん得意なのは、水深が浅く流れがある、川だと思います。生育に適した場所が減少しているため、絶滅が危惧されている、貴重な水生植物です。
昔の井の頭池は今よりだいぶ浅かったのか、それともミクリは水深があっても問題ないのか、注目しています。