当会がひょうたん池に設置して、水生生物の調査を行っている3基のワナが何者かにひっくり返される事件が、6月と7月ですでに三回起きています。今朝も写真のようにひっくり返っていました。
このワナは「遮光ドームカゴ」と呼んでいるもので、側面に四角い入口がひとつ、上面に取り出し口がひとつあるドーム型のワナの上部に遮光シートを被せたものです。側面の入り口は奥ほど細いラッパ状で、生き物が入りやすく出にくい形状です。夜行性のアメリカザリガニなどは、明るくなってくると暗い隠れ場所を探して、遮光されたドームカゴに入るのです。生き物を誘うための餌が要らないため、扱いやすい優れものです。入った生き物は、上部の穴から取り出します。
このワナの目的は、大きく分けて二つあります。ひとつは池の生態系に大きな被害を及ぼすアメリカザリガニを駆除するためで、もうひとつは、ワナにどんな生き物が何匹入るかを記録して、池の生き物の変化を知るためです。継続的に調査をすることで、池の生態系が改善しているか否かをある程度知ることができるのです。我々は生き物が活動する期間、雨などで活動できない日を除き、毎日ひょうたん池のワナのチェックを行っています。
ワナをひっくり返した人物が何のためにやったのかははっきりしませんが、何が入っているかを見るため、中の生き物を盗るため、あるいは、調査活動を妨害するため、などが考えられます。ワナをいじられるのがほぼ土日であることからも、人物像が想像できます。
ワナに入っていた生き物を持っていかれてしまうと、何が何匹入ったかの記録が失われるので、調査の妨害になります。しかも、ひっくり返されてしまうと、捕獲できたはずの生き物が入らなくなるため、捕獲記録を歪めることになり、ザリガニの駆除数も減ってしまいます。ワナを扱える場所は一般来園者は立ち入り禁止の場所で、しかも「さわらないでください」と書いた札も付けてありますので、絶対に触らないでください。
過去にも子供たちや大人にワナをいじられる事件がけっこうあり、学校や警察に協力していただいたこともありました。昨年には、ワナの網の一部が切り取られて大きな穴が開いていたこともありました。そうなると完全に「威力業務妨害」です。もしワナに何か問題を見つけられた時や、ワナを勝手に上げている人物を見かけられた時は、公園の案内所に通報をお願いします。そこの職員が当方に連絡してくれます。
ワナを使った外来種駆除や水生生物調査は、井の頭池をより良い生態系の池にするために必要な活動のひとつです。ご理解とご協力をお願いします。