保護柵内の笹刈り

御殿山の雑木林内にも、守りたい植物のための保護柵がいくつかあります。しばらく世話をしていなかった間に草やササが伸びて、保護したい植物が埋もれそうなので、刈り取りをしました。

シオデ保護柵内の草刈り

写真はシオデを機械的な草刈りから守るために3年ほど前に保護柵を設置した場所です。雌株と雄株が無いと結実しないシオデの実が見られるのは、園内ではここだけでした。柵で囲うと、その中の草刈りは我々が丁寧にやることになります。ツルは光を求めて伸びるので、草刈りをしなくてもシオデがすぐにダメになることはないのですが、地上部は秋に枯れ、次の年には地下茎を伸ばして日当たりが良い場所に芽生えるので、柵からどんどん出ていき、刈られてしまうことになります。

ヤブの笹刈り

ここは別のツル性樹木を保護している、ムラサキシキブやマユミなどの茂みです。そういうツル植物にとって、背が高くない樹木がある茂みの存在は大切です。小鳥などの生き物にとっても貴重です。しかしあまり繁すぎると園内の見通しが悪くなるので、伸びすぎた笹などを刈りました。

今年度から「多様な生物が生息する都立公園づくり事業」が井の頭公園で始まりました。今後はいろいろな生き物が暮らせる環境を公園管理者が整備し維持するようになってほしいです。

玉川上水のオオブタクサ

年1回の水質調査に行った際、境橋付近に重点対策外来種オオブタクサが生えているのに気づきました。

玉川上水のオオブタクサ(写真中央)
柵内外にオオブタクサ(6月5日)
神田川 神田橋〜みすぎ橋 のオオブタクサ(2020年9月4日撮影)

我々は神田川に蔓延したオオブタクサの惨状をよく知っているし、丸山橋(三鷹台)より上流では駆除活動も行っているので、再度8日にどこまで広がっているのか調べに行きました。その結果、境橋〜下流の桜橋の間の左岸に広がっていることが分かりました。玉川上水の柵の内側(上水内)と、外側(玉川上水緑道)の両方に生えていました。その日は緑道の草刈りが業者により行われていましたが、なぜかオオブタクサだけ刈り残されています。作業していた人に聞いてみたら、それが玉川上水の景観や生物の生息環境を一変させてしまう侵略的な外来植物だと知らないようでした。

今駆除を始めなければ、下流一帯がオオブタクサに覆われる事態になりそうなので、何人かの人に伝えたところ、一人が武蔵野市議に連絡してくれ、市議が武蔵野市に話をし、武蔵野市が境浄水場(東京都水道局)に要望した結果、近日中に草刈りをするとの返事をもらったそうです。侵入から複数年経っていそうなので、埋土種子がすでに存在していると思いますが、抑え込めることを期待しています。

玉川上水にはいろいろな樹木が茂り野草が生え、野鳥や昆虫なども暮らしているので、自然が好きな人にとってとても貴重な環境になっています。そのため、それが損なわれることに敏感な人が多く、住民運動も盛んです。三面護岸の単なる排水路にされ、沿川住民の関心が薄い神田川と比べると、羨ましい気がします。

保全活動としての自然観察

土曜日に実施している保全活動班の全体活動ですが、今年度はほぼ百年森と水玉エリア(ミズタマソウ保護エリア)だけの活動になっていました。新型コロナが落ち着きを見せ、新たなメンバーも増えたので、より広い知識と視野で活動してもらいたくて、今回は公園内の自然の状況を皆で観察して回ることにしました。

参加者は7名のみでしたが、植物、野鳥、昆虫、菌類、トータルな自然環境など、日頃から詳しく観察している人が、持っている知見や改善すべき問題点などを、他の参加者と共有しながら、園内を観察して回りました。

もちろん、観察をすれば新たな発見があります。そのたびに時間をかけたので、予定したコースの一部しか回れませんでしたが、それぞれが新たな知識を得ることができました。とても面白かった、という意見が多かったので、今後も時々実施したいと思います。自然の面白さや大切さを知るほど、保全活動に参加するモチベーションが高まります。

以下は、観察したことのほんの一部です。

クヌギの切り株に発生したカエンタケ

触っただけで皮膚がただれるという猛毒きのこカエンタケ。ナラ枯れした木によく発生する。昨年多数発生したが、今年も出てきた。ナラ枯れ菌を運ぶカシノナガキクイムシが、カエンタケの菌も一緒に運ぶという説がある。カシノナガキクイムシもカエンタケも在来種なのに、近年になってナラ枯れが広がったのは、薪炭用に植えたナラ類を利用しなくなり、カシナガが好んで穿孔する大径木になったのが理由らしい。

地面がカチカチの御殿山の広場で、改良策について説明

台風やナラ枯れで樹が無くなり、来園者に踏み固められて草も生えない御殿山の広場。今後の改良策について、意見を出した本人が説明。

周りの植栽エリアも樹木も減ってしまったので、今後どんな樹を植え、どのような環境に維持管理していくかも、大きな課題です。

子育てシーズン中の野鳥がいろいろ見られ、カメラマンが何人もいましたが、私は鳥の写真を撮れないので省略。とにかく、野鳥にとっても野鳥ファンにとっても、井の頭公園の環境は重要です。珍しい鳥の情報が伝わると人が押し寄せすぎるという問題もあります。

ハチガタハバチ幼虫

ヤマユリの葉を食べ、その葉の上で休んでいた、ハチガタハバチの幼虫。鳥のフンに擬態しているらしい。ちょっと不思議な名前は、成虫がアシナガバチの一種ムモンホソアシナガバチに擬態しているかららしい。ハバチ(葉蜂)もハチですけど!? 虫の生態も人間の命名も不思議です。植物の種類が多いほど、見られる昆虫の種類も増えます。

ラミーカミキリ。美しいカミキリムシですが外来種です。ラミーの仲間のカラムシやヤブマオがある井の頭公園でも増えています。

特定外来生物に格上げ?された蝶アカボシゴマダラもそうですが、繁殖力が強い外来昆虫がいったん増えてしまうと、駆除は困難です。

希少植物発見

井の頭公園では1箇所にしか生き残っていないと思っていた在来植物をここで発見。手入れの仕方が改善され、環境が良くなれば、姿を消していた植物が復活する可能性があります。

その植物が写真のどこにあるか分かりますか?

最近池の周りに何箇所か造られた剪定枝槽。樹木を剪定すると出る枝や葉は、今までは園外に搬出されて処分されていたのですが、今後はここに入れられ、腐葉土などとして再利用されるそうです。そこは虫などが暮らす場所にもなるでしょう。

我々は、園内の低木や植え込みの剪定の仕方についても、改善を要望してきました。園芸職員が増員され、剪定の方法も改善されています。

我々が園内外の自然をよく観察し、自分たちで可能な活動は行いながら、管理者に報告や要望をすることは、意味があることなので、今後も続けていきます。

カワヂシャとオオカワヂシャの関係

カワヂシャの保護活動を始める前、年々数が減っていくのを眺めていて、不思議に思うことがありました。

疑問1)オオカワヂシャがあるとなぜカワヂシャが減るのか?

疑問2)年々数が減っているのに、減る速度が遅く、なかなか絶滅しないのは何故なのか?

カワヂシャを育てて観察したら、疑問2)の答えはすぐに分かりました。カワヂシャは自花受粉でも結実するのです。花粉を媒介する昆虫がいれば他の花の花粉を受け取って結実しますが、その機会が訪れなかった時は、花が閉じる際に自分のおしべをめしべにくっつけて、自花授粉をするのです。同じオオバコ科クワガタソウ属のオオイヌノフグリと同じしくみです。花粉媒介昆虫が来ない室内で1株だけで育てたカワヂシャにも夥しい数の種子ができました。ぞして、自花受粉でできた種子にも高い発芽率があることを確認しました。

それに対して、疑問1)の答えを見つけるのは簡単ではありませんでした。特定外来生物のオオカワヂシャを栽培するのは違法なので、実験ができないのです。ただ、多数のオオカワヂシャに囲まれた場所より、周りにオオカワヂシャが無かった場所の方が、翌年芽生えるカワヂシャの数がはるかに多いことに気づいていました。ある日テレビを観ていたら、植物の専門家がその理由を説明していました。カワヂシャの柱頭(めしべの先)に着いたオオカワヂシャの花粉が花粉管を伸ばしてしまうと、カワヂシャは結実できなくなるそうです。

なお、その逆、オオカワヂシャの柱頭にカワヂシャの花粉が着いた場合は、結実して、その種子から「ホナガカワヂシャ」と呼ばれる雑種が芽生えるけれど、それに繁殖力は無いのだそうです。

カワヂシャを復活させる方法が分かりました。周りのオオカワヂシャをできるだけ駆除すればよいのです。その際は、上流側からオオカワヂシャの駆除を進めるのが効果的です。オオカワヂシャもカワヂシャも、種子は川に流されて広がるからです。我々はカワヂシャを種子から育てて川に移植する活動もしていますが、それは必ずしも必要ではありません。

なお、雑種のホナガカワヂシャの識別はどうするんだという質問を受けることがありますが、問題ありません。特定外来生物の雑種は特定外来生物です。カワヂシャらしくないものは駆除すればよいのです。

今年のオオカワヂシャ駆除終了

4月30日の記事に特定外来生物オオカワヂシャの駆除が今年の目標地点の「あしはら橋」まで進んだと書きましたが、そこまで完了したわけではありません。見逃したものや、まだ小さくて摘み取るのが困難な実生が多数残っていたので、その後も6回の駆除作業を実施し、今日で今年のオオカワヂシャ駆除活動を終了とすることにしました。もちろん取り残しはまだあるのですが、できる範囲で毎年少しずつ進めるしかありません。それでも、来年在来種カワヂシャが生えられる場所は今年よりだいぶ増えたと思います。

写真は我々が「カワヂシャ島」と呼んでいる、2019年にオオカワヂシャの駆除に着手した場所(中洲)です(2019年5月1日の記事参照)。その時はオオカワヂシャがほとんどで、カワヂシャは10株しか確認できなかったのですが、今年はカワヂシャがとても増えています。なお、写真中央付近の紫色でやや大きな花はオオカワヂシャです(もちろん抜き取りました)。この島より下流にも今年は多くのカワヂシャが生えていて、開花・結実中です。他の場所で種子から育てて移植したものもありますが、ほとんどはその場で芽生えたものです。

これまでの研究の結果、カワヂシャを増やすには、オオカワヂシャを減らせばよいことが分かりました。下流へ向かって毎年10mでも20mでもオオカワヂシャの除去を進めることができれば、カワヂシャはもっと復活するでしょう。

オオカワヂシャは外来生物法で「特定外来生物」に指定されているので、根も茎も種子も持ち運ぶことが禁止されています。我々は河川管理者から特別な許可をいただき、許可証を携行して駆除活動を行なっています。神田川に入って魚獲りなどをした人が、オオカワヂシャの種子を衣服に付けて他の場所へ移動し、そこに種子を落とすと、それも外来生物法違反になり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金を課される可能性があるので、十分注意してください。

百年森の三年

百年森パノラマ

西園の一角にある「百年森」は、生き物最優先の場所にしたいと、2019年の5月11日に3団体共同で世話を始めてから三年になります。その隣にあるミズタマエリア(ミズタマソウ保護エリア)はもう少し早くから関わっていますが、今は一体と考えて同時に世話をしています。

エザ
エゾノギシギシの根

今日は明け方まで雨だったので、作業は控えめにして、状態チェックや生き物観察を中心に活動しました。とはいえ、気になった外来植物の駆除も少しやりました。写真は巨大な葉をつけていたエゾノギジギシで、根も巨大でした。こんなに大きくなるまで掘り取っていなかったのは、単に同定をサボっていたからです。

両エリアとも、トキワツユクサやハルジオンなど、しつこい種類はまだ残っていますが、外来植物を積極的に除去してきたので、公園の他のエリアと比べるとかなり少ないです。また、園内で見つけた希少な在来植物を草刈りされる前に救出して、ここに移植する活動もしてきました。今では在来植物の種類がだいぶ増えています。ミズタマエリアは最初は「ミズタマソウ保護エリア」と読んでいました。井の頭公園ではここにしか無かったミズタマソウを保護するために囲ってもらったエリアだからです。しかし保護している植物が増えたので、長い名前は使いにくいこともあり、呼称を短縮しました。

ヒダリマキマイマイ

写真はミズタマエリアにいたヒダリマキマイマイの一部です。生息数が減っているという、地上性のカタツムリですが、玉川上水沿いの樹林と連続しているこの場所には多数生息しています。今日は雨上がりなので、よく見て歩かないと踏み潰しそうなほど出歩いていました。

若木も育ってきた

百年森という名前も、短い呼称がほしくて我々が名づけたものです。良い環境に育てるには何年もかかるので、次の世代、そのまた次の世代と活動を引き継いでいってほしいのです。まだ百分の三しか経っていませんが、しだいに環境の複雑さが増し、生き物が増えています。百年森は玉川上水とは少しだけ離れていますが、多様な生き物が暮らせる環境として、お互いに補い合う場所になってほしいと願っています。

あしはら橋に到達

あしはら橋手前の除草開始

今日の目標は、オオカワヂシャの駆除を今年の目標である、あしはら橋まで進めることです。川に入って近くで見ると、オオカワヂシャのあまりの多さに目まいがしそうでしたが、三人で頑張りました。

オオカワヂシャは、島(洲)の上だと根が地中に伸びているので掘り取る必要がありますが、水中のものは根が礫などにしがみついているだけなので、ゆっくり引っ張れば簡単に抜き取れます。

駆除作業最終段階

ただし、水分をたっぷり含んでいて簡単に折れるので、注意が必要です。茎の断片でも残すと、そこから根を出して再生するからです。群落には大切なカワヂシャも混じっているので、それを見分けながら注意深く駆除しました。オオカワヂシャが減るにつれ、カワヂシャが目立つようになりました。

吊り上げて回収

水々しく太った株は重いので運ぶのも大変です。駆除したオオカワヂシャは袋に詰め、岸からロープで引き上げて回収しました。パワーのあるメンバーが参加してくれたので、駆除作業も回収運搬作業も捗りました。

あしはら橋まで到達したとはいえ、取り残しもあるでしょうし、摘み取るには小さすぎる実生も多数芽生えています。あと何回か駆除を続ける必要があると思います。

カワヂシャが増えたのは、多くのメンバーの協力でオオカワヂシャの駆除を3年間続けてきた成果です。それを思うと、もうしばらくは頑張れる気がします。

オオブタクサとオオフサモ

12日の神田川活動では、芽生えてきた植物をチェックすることも目的でした。とくに、岸際の洲に毎年生えるオオブタクサを駆除するのは、今の時期が適しています。重点対策外来種オオブタクサの実生が識別可能なほど大きくなり、しかも他の草もまだ成長していないので、見つけやすいからです。小さい時期なら、たとえ数が多くても嵩張らないので、楽です。

オオブタクサの実生

オオブタクサの実生は、いつもの場所で見つかりました。ただし、これまでよりは見つかった範囲が狭く、本数も減少していました。我々が2019年に駆除を始めて以降は種子を散布する前に除去しているので、埋土種子がだいぶ減ったのだと思います。完全に駆除するには、残っている埋土種子が発芽したらすべて抜き取って、新たな種子散布を許さないことです。

見つけたオオフサモ

その近くで特定外来生物のオオフサモを見つけたので、それも駆除しました。このブログにも書いたように、広がりかけていた群落を見つけて、2019年の2月に駆除しました。しかし今も時々見つかります。日本には雌株しか入ってきていないので種子はできないのですが、茎の断片からの再生力がとても強いので、栄養繁殖でどんどん増えます。地下茎の小さな断片まで完全に除去するのは簡単ではなく、今も完全駆除を達成できていません。

侵略的外来植物を効果的に駆除するには、その植物の生態を把握し、弱点を攻めることが必要です。増えてしまってからだと減らすのが大変なので、見つけたら直ちに対処することが重要です。でももっと重要なのは、そのような外来植物が持ち込まれないようにすることです。

3月の神田川ゴミ拾い

3月5日のゴミ拾い

昨年の11月にも実施したのですが、再びゴミが目立つようになったので、ゴミ拾いを実施しました。参加者が少なかったので、4回に亘り、延べ11名での活動になりました。そのうちの2回はゴミ拾いが主目的でしたが、あとの2回はカワヂシャ保護活動のついでにゴミを拾ったものです。

3月12日に拾ったゴミ

我々の活動範囲は、夕やけ橋から丸山橋の間です。その距離は700m足らずなのに、しかも前回から四か月しか経っていないのに、ゴミがたくさんありました。前回のレポートで、捨てられるゴミが減ったようだと書きましたが、甘かったです。新型コロナのせいで川沿いを通る人が少なかっただけのようです。とくに残念だったのは、相変わらず、電気製品など生活用品の不法投棄が多いことでした。それらを川に捨てた人は、それらがどうなるかを想像したことがないのでしょうか。

神田川開始

今年の神田川の活動を始めました。現在重点を置いているのは、上流側に生き残っている希少在来水生植物カワヂシャを上流側から下流方向に増やしていく活動です。今年はそのエリアを、あしはら橋まで拡大したいと思っています。

芽生えたオオカワヂシャ

カワヂシャを増やすには、それが増えられない原因になっている特定外来生物オオカワヂシャを無くする必要があります。神田上水橋の少し下流までは、昨年までの駆除活動でかなり減らせていますが、泥の中に残っている種子から芽生えるものが今もあるので、それを見つけて除去します。

川で芽生えたカワヂシャ

自然発芽したカワヂシャがいくつか見られました。写真はその一例です。昨年多数の花を咲かせ、種子をたくさん落としたので、泥の中にはかなりの数の種子があるはずです。カワヂシャはオオカワヂシャより発芽のタイミングが遅い傾向があるので、今後どんどん芽生えると思います。

育てたカワヂシャ苗を移植

基本的には、オオカワヂシャを駆除すればカワヂシャは増えらます。さらに確実に増やすため、種子から苗を育てて移植する活動も昨年から始めました。今日も何株か移植しました。カワヂシャは意外なほど簡単に育てられるので、今後も続けたいと思っています。

拾ったゴミ。可燃と不燃に分別する

川に入ったついでに、オオカワヂシャだけでなく、駆除対象としている他の外来植物の除去も行います。今日はキショウブを見つけて掘り取りました。

また、ゴミが無視できないほど落ちていたので、それも拾いました。我々の活動範囲である丸山橋までの間のゴミ拾いも実施する予定です。