カワヂシャ増加中?

12月24日の記事に載せた、試験的に移植したカワヂシャが、写真のように、だいぶ逞しくなりました。この付近を調べたら、20株ほどが育っていることが分かりました。もちろん周囲には、特定外来生物オオカワヂシャが多数成長中です。

特定外来生物オオカワヂシャの猛威から守り準絶滅危惧種カワヂシャを復活させるには、最上流からオオカワヂシャの駆除を進めながらカワヂシャを増やしていくのが効率的だと考えています。オオカワヂシャもカワヂシャも、落ちた種子は水の流れによって広がるからです。移植試験の結果、かなりの率で根付くことが分かったので、1月に最上流エリアのオオカワヂシャを除草し、2月8日からカワヂシャ苗を植える活動を始めました。その時植えた苗の3分の2は増水で流されたり生き物に傷つけられたりして消えてしまいましたが、少しは生きのびています。育成中のカワヂシャ苗はまだたくさんあるので、定着率を上げる工夫をしながら順次植えていくつもりです。

オオカワヂシャ大群落

そこから下流はオオカワヂシャの天下です。写真のように、オオカワヂシャが大群落を作っている場所もあります。3月になるとどんどん伸び出して、4月には茂みになって他の水生植物を圧倒し、すぐに花を咲かせて、また大量の種子を散布することになります。

カワヂシャの群落

でも、大群落を詳しく見たら、中央あたりにカワヂシャの群落があるのに気づきました。葉が細長くて鋸歯があるのがカワヂシャです。

昨年もこの場所でカワヂシャを見つけたので、その周りのオオカワヂシャを除去しました。オオカワヂシャの花粉がカワヂシャの雌しべに付くと結実できなくなるからです。今年の結果は、オオカワヂシャを駆除するだけでも、カワヂシャを増やす効果があることを示しています。

川にゴミを捨てないで

設置された看板

神田川上流部の川沿いの柵に最近設置された、「不法投棄禁止」看板です。夕やけ橋(井の頭公園三角広場)と丸山橋(三鷹台)との間の四箇所に取り付けられていました。

神田川上流部は希少な動植物が今も残っている貴重な環境なのですが、川沿いの道から投げ込まれるゴミが多く、気持ち良く眺められる川とは言えません。昨冬には当会と協力団体でゴミ拾いを実施し、一時的には気持ちの良い川になったのですが、間もなくゴミだらけの川に戻ってしまいました。そこで、捨てられるゴミを減らす方策を考えてほしいと河川管理者に要望した結果、この看板が設置されたのです。目立つ色彩で、かつ河川管理者と警察署の連名になっているので、なかなか強力な看板だと思います。

ただ、「不法投棄」という言葉はかなり強いので、飲み終わった缶などをポイ捨てすることも「不法投棄」に含まれると多くの人に解釈してもらえるのか、ちょっと心配です。11月10日の記事に載せた電気掃除機などは誰でも不法投棄だと思うでしょうが、空き缶やプラ袋を捨てるのは「不法投棄」とまではいえないと感じる人がいそうです。でも、ポイ捨ても軽犯罪法の処罰対象になる不法行為なので、やめてください。

休憩中のコガモ

法律で取り締まるより大事なのは、多くの人に川への愛着を持ってもらうことだと思います。そこには希少な植物が今も残っていて、いろいろな魚や鳥などが暮らしていることを知れば、そこへゴミを捨てようとはしなくなるでしょう。当会としても、そのような啓発活動が必要だと考えています。

看板設置に合わせて、この冬もゴミ拾いをしたいと考えていたのですが、新型コロナの感染が急拡大しているため、実施できなくなりました。感染予防上、人を集めること自体ためらわれるし、雨と一緒に下水が流れ込む川にはウイルスが流れてくる可能性もあるからです。コロナ禍は自然環境保全の障害にもなっています。

カワヂシャを増やしたい

神田川の上流部には、環境省の準絶滅危惧種に指定されている希少な在来水生植物カワヂシャがかろうじて生き残っています。絶滅の縁に追い込まれた理由は、繁殖力が強力な外来種オオカワヂシャ(特定外来生物)に生息場所を奪われたからです。神田川上流部のカワヂシャは数年前の東京都某機関の調査では見つからなかったそうですが、我々が調査したところ、10株余りが生き延びているのを確認しました。

そこで、カワヂシャを増やすための活動を開始しました。まず実施したのは、貴重なカワヂシャを覆い隠しているオオカワヂシャを取り除き、カワヂシャが成長し開花・結実できる環境を作ることでした。その結果、翌年は少しだけカワヂシャの数が増えました。

植えたカワヂシャの苗(11月30日)

今年はカワヂシャの種子を採取できたので、その一部を発芽させて、小さな苗に育ったものを、11月30日に試験的に神田川に植えてみました。

大きめからごく小さいものまで、いろいろな大きさの苗がありました。

今日(12月24日)のカワヂシャ

同じ場所の今日の状態です。小さな苗は流されたのか無くなってしまいましたが、残っているものはしっかり根付いたようです。

この付近に植えた多数の苗のうち、10株余りが根付いているようです。

しかし、その周りには夥しい数のオオカワヂシャが芽生え始めているので、今後はそれらを駆除しないと、カワヂシャは育たないと思います。

草刈り後

草刈り作業(11月10日)

業者による神田川河床の草刈りが行われました。写真は11月10日のようすで、丸山橋の近くから上流を向いて撮ったものです。草刈りは上流から下流へと進んでいます。河川管理者に、草刈り作業で下流のオオブタクサの種子を上流に持ち込まないよう注意をお願いしておいたので、業者の人も配慮してくれたようです。これで、丸山橋より上流では、オオブタクサの種子が新たに散布されるのを今年はほぼ完全に阻止できたと思っています。ただし、埋土種子はおそらくまだ残っているので、来年以降も監視と除草が必要です。

コガモのオス(11月14日)

草がなくなり活動しやすくなった川には、いつものカルガモのほかに、コガモやマガモのカップルが来ていて、盛んに採食をしていました。小魚やエビを探すサギ類、虫を採っているセキレイの仲間、そして、川面を直線的に飛ぶカワセミの姿も見られました。水草がなくなった川も、鳥たちにとって大切な生活の場です。

捨てられた掃除機(11月14日)

草がなくなると、たくさんのゴミも目に着きます。お菓子の袋などは道に捨てられたものが風で運ばれたのかもしれませんが、飲み物の空き缶は明らかに投げ込まれたものです。今年はマスクも落ちています。とくに驚いたのが、なんと、掃除機が捨てられていたことでした。4日前には気づかなかったので、草刈りが終わってから捨てた人がいるようです。その人はその後それがどうなるか想像しないのでしょうか。神田川が生き物たちにとって貴重な生活の場だと知っている人はもちろん、神田川に少しでも愛着を持っている人ならゴミを捨てたりはしないはずです。

当会は昨冬(2月)に初めて神田川上流部のゴミ拾いを計4回実施し、多数のゴミを拾いました(2月8日と2月19日の記事参照)。しばらくは気持ち良く眺められる川になったのですが、長くは続きませんでした。この冬もゴミを拾いたいと考えているのですが、コロナ禍の中で実施するにはいくつか問題があります。河川管理者と話し合っているところです。

池の活動終了

分解したドームカゴ

ひょうたん池に設置していた遮光ドームカゴ3基と、その他の池に設置していたオダアミ計3基を撤収して、今年の池の保全活動を終了しました。毎年、ドームカゴでザリガニが1匹も獲れない日が2日続いたら活動終了と決めています。例年の終了時期は12月初めのことが多いのですが、今年はワナの数が少ないこともあって、3回捕獲ゼロの日が続いたので、11月4日でひょうたん池のワナを陸に上げました。今日はそれらを分解し、池にまだ設置してあったオダアミもチェック・回収して、漁具物置に運びました。

今年のザリガニ捕獲数は計 431匹でした。ちなみに、2019年度は 744匹、2018年度は 2,140匹、2017年度は 4,680匹です。実施回数もワナの数も違うので単純な比較はできないのですが、継続的にワナチェックに参加し、ザリガニが活動する夜の池のようすも観てきた私の感覚では、今年は昨年よりさらに減ったと感じています。(ただし、我々より遅く活動を開始したかいぼり隊の人は、昨年より多く獲れると言っていました。) 一時期はひょうたん池だけで5千匹以上も獲れた年があったのと比べると、大幅に減ったのは間違いありません。

井の頭池でアメリカザリガニが激増した理由は、天敵だったオオクチバス(ブラックバス)をかいぼりで一掃したからでした。それが再び減少した理由は、ボランティアによる駆除活動と、天敵となる在来の生き物(サギ類、カイツブリ、ナマズなど)の増加だと考えられます。現状は低密度抑制ができていますが、池にはまだ回復可能な数が生存しているし、神田川に多数生息しているものが遡上してくるので、再び増えないように駆除活動は来年以降も続けるべきと思います。

当会の池の活動は、ザリガニ駆除のほかに、池の生き物のモニタリングをするという目的もあります。今年が昨年までより大きく変わった点のひとつは、一昨年はクロダハゼ稚魚、昨年はウキゴリ稚魚が大発生したのに、今年はモツゴ稚魚の発生が多かったことです。かいぼりで破壊・撹乱された生態系がバランスを取り戻しつつあるのだと思います。在来種のヌカエビが、ひょうたん池でも多数獲れるようになったのも今までなかった変化です。池に水草が増えたことが影響しているようです。ただし、外来の侵略的水草コカナダモが激増したのは問題です。かいぼり隊がコカナダモの駆除に取り組んでくれているので、期待しています。(トシ)

生きもの増加中

百年森の草刈り中

今日は井の頭自然の会と井の頭かんさつ会の合同で百年森の草刈りを実施しました。枯れた草が栄養になるのを促し、地面に光が届くようにして来春の芽生えを助けるのが目的です。人手による草刈りは少しずつ進めていて、写真の枯れた草は前回までに刈った草です。公園の他のエリアの、業者が機械で草刈りした場所と比べると雑然としていると感じると思いますが、いろいろな生き物が暮らせる場所を作るために、あえてそうしています。

クロコノマチョウ(成虫越冬)

その結果、まだ世話を始めて一年半ですが、見られる生き物が増えてきています。様々な草が生い茂り、いろいろな樹木が芽生え成長しています。表土には大きなミミズが増え、それを食べにモグラがやってきて、両者が固く締まっていた土を耕してくれています。土中の菌類も増えているようで、きのこもいろいろ出てきています。茂った草や咲いた花を拠り所とする昆虫が増え、それを捕食する虫も増えています。さらに、それらを採りに野鳥も立ち寄るようになりました。成長中の若木がもっと大きくなれば、それが隠れ場所になったり実をつけたりするので、訪れる鳥はもっと増えるでしょう。

2019年5月11日

まだまだ始まったばかりですが、徐々に生態系ができつつあるのを感じています。ここの世話を始めた昨年5月の写真を載せますが、大きく変化したことは分かると思います。今後も、百年森の目的である、「生き物最優先の場所」を目指して、必要な活動を続けていきます。

昆虫が増えるにつれて、虫採りを目的に柵を乗り越えて百年森に侵入する人が増えてきているようです。井の頭公園の柵に囲まれたエリアは、植物やその他の生き物を保護するための立入禁止の場所です。百年森も、柵の中には入らないで、柵の外から見守ってください。百年森に生き物が増えれば、そこへ出入りする生き物が、百年森の外でも見られるようになるでしょう。

種子散布阻止

10月14日に駆除したオオブタクサ

神田川の丸山橋(三鷹台駅)より上流から侵略的外来植物オオブタクサを根絶すべく、実生の摘み取りを実施してきましたが、取り残しがあって草刈り前に種子が散布される恐れが出てきたので、10月14日と28日の2度、オオブタクサの追加駆除を少人数で実施しました。14日には9株を抜き取ったのですが、それでも見逃しがあり、28日にさらに3株除去しました。これまでの駆除の効果でいずれも小さな株でしたが、28日のものはしっかり結実していたので、もし見逃したままだったら、草刈り前に種子を落としていたかもしれません。

神田橋 − みすぎ橋間(9月4日)

上の写真を見た人は、こんな貧弱な草を我々がなぜ懸命に駆除しているのか、と思うかもしれませんが、もっと下流のようすを見てもらうと、理由が分かると思います。護岸の高さは4mぐらいあるので、オオブタクサの猛威が分かると思います。一時は丸山橋より上流でも草丈2mを超える群落ができかけたのですが、刈り取りや抜き通りを繰り返した結果、現在の程度に衰退しました。侵略的外来植物の駆除は始めるのが早ければ早いほど効果的で、必要なコストも少なくなります。

猛暑下の活動

夏草の百年森

猛暑日が続いています。屋外活動には危険を感じるほどの暑さですが、植物はその高気温でどんどん伸びるので、我々もそう休んではいられません。百年森も、熱中症と新型コロナ感染症に注意しながら、小規模・分散型で除草などの世話を時々しています。とはいえやはり暑いので、今日は軽めの活動とし、現状観察(生き物観察)と、見つけた外来植物の除草をしました。これまでの選択的除草活動の効果で、外来植物はかなり減っています。

在来植物の種まき

そのほかに、公園内の他の場所で芽生えた(今の公園では)希少な在来野草の種子を採取してきて、百年森に蒔く作業もしました。雑木林の木が何本も枯れて伐採されたため、林床に多くの光が入るようになり、昔から眠っていた種子が芽生え、開花・結実したのです。

昔は公園内で普通に見られたのに、最近は見られなくなっていた野草がいろいろあり、その埋土種子が何かのきっかけで芽生えることがあります。そのままにしておくと草刈りで再び消えてしまうので、希少な在来植物は、我々の手で丁寧に除草をしている百年森に移植して、保護したいと考えています。

記録に残らない魚

今朝のザリガニワナ(遮光ドームカゴ)にオイカワのオスの成魚が2匹入っていました。どちらも見事な婚姻色が出ているオスで、記憶に残る美しさでした。写真はそのうちの1匹です。オイカワが獲れたことはほとんど無く、過去にはたったの2回、稚魚が獲れたことがあるだけです。その状況は他の活動でも同様で、かいぼり隊が100基以上設置しているザリガニ捕獲用のドームカゴでも、魚類調査用の張り網でも、ほとんど獲れた記録がありません。

それほどオイカワは少ないのかと思うかもしれませんが、そんなことはなく、かいぼりで水質が良くなった井の頭池に神田川から遡上してきて、今は多数生息しています。池をよく観ていれば、水面近くを群れで泳ぎ回り、水面の虫を盛んに食べているオイカワを見ることができます。

要するに、現在使われているワナはオイカワの習性に合っていないため捕まえることができないのです。ドームカゴはアメリカザリガニを駆除するのが目的ですから獲れなくても問題ないのですが、もしオイカワの生息数を推計する必要があるなら、別の手段が必要です。もしかすると、本当はいるのに、人目につかず捕獲もできないせいで、井の頭池にはいないことになっている別の生き物がいるかもしれません。

ところで、そんなにワナに入らないオイカワがなぜ2匹も同時に入ったのかですが、繁殖期を迎えて他のオスへの対抗心が増した2匹が争っていた拍子に、ワナの中に入り込んでしまったのではないかと想像しています。(トシ)

妨害

ひっくり返されたワナ

当会がひょうたん池に設置して、水生生物の調査を行っている3基のワナが何者かにひっくり返される事件が、6月と7月ですでに三回起きています。今朝も写真のようにひっくり返っていました。

このワナは「遮光ドームカゴ」と呼んでいるもので、側面に四角い入口がひとつ、上面に取り出し口がひとつあるドーム型のワナの上部に遮光シートを被せたものです。側面の入り口は奥ほど細いラッパ状で、生き物が入りやすく出にくい形状です。夜行性のアメリカザリガニなどは、明るくなってくると暗い隠れ場所を探して、遮光されたドームカゴに入るのです。生き物を誘うための餌が要らないため、扱いやすい優れものです。入った生き物は、上部の穴から取り出します。

このワナの目的は、大きく分けて二つあります。ひとつは池の生態系に大きな被害を及ぼすアメリカザリガニを駆除するためで、もうひとつは、ワナにどんな生き物が何匹入るかを記録して、池の生き物の変化を知るためです。継続的に調査をすることで、池の生態系が改善しているか否かをある程度知ることができるのです。我々は生き物が活動する期間、雨などで活動できない日を除き、毎日ひょうたん池のワナのチェックを行っています。

ワナをひっくり返した人物が何のためにやったのかははっきりしませんが、何が入っているかを見るため、中の生き物を盗るため、あるいは、調査活動を妨害するため、などが考えられます。ワナをいじられるのがほぼ土日であることからも、人物像が想像できます。

さわらないで札

ワナに入っていた生き物を持っていかれてしまうと、何が何匹入ったかの記録が失われるので、調査の妨害になります。しかも、ひっくり返されてしまうと、捕獲できたはずの生き物が入らなくなるため、捕獲記録を歪めることになり、ザリガニの駆除数も減ってしまいます。ワナを扱える場所は一般来園者は立ち入り禁止の場所で、しかも「さわらないでください」と書いた札も付けてありますので、絶対に触らないでください。

過去にも子供たちや大人にワナをいじられる事件がけっこうあり、学校や警察に協力していただいたこともありました。昨年には、ワナの網の一部が切り取られて大きな穴が開いていたこともありました。そうなると完全に「威力業務妨害」です。もしワナに何か問題を見つけられた時や、ワナを勝手に上げている人物を見かけられた時は、公園の案内所に通報をお願いします。そこの職員が当方に連絡してくれます。

ワナを使った外来種駆除や水生生物調査は、井の頭池をより良い生態系の池にするために必要な活動のひとつです。ご理解とご協力をお願いします。