神田川の希少植物探し

除草作業
豪雨の中、ずぶ濡れで作業しました

4月24日に二回目の神田川での活動を実施しました。一回目の2月13日時点では識別不能だった、希少在来植物「カワヂシャ」と、特定外来生物「オオカワヂシャ」が識別ができるほど生長したからです。カワヂシャを見つけ、その生育を妨げているオオカワヂシャを少しでも多く除草するのが、この日のミッションです。河川管理者の北多摩南部建設所(北南建)が多忙で動けなかったため、作業は井の頭かんさつ会の7名だけで実施し、除草した草と拾ったゴミを翌日北南建に回収してもらうことになりました。

オオカワヂシャの中のカワヂシャ
カワヂシャはこのうち1株のみです

ところが、開始間もなく降り始めた雨がすぐに豪雨になったため、予定していた作業の一部しか実施できませんでした。それでも、事前の岸からの調査では3株しか見つかっていなかったカワヂシャを新たに7株見つけました。

また、2月13日にオオフサモを駆除した場所にオオフサモが再び芽生えてきていたので、除去しました。丸石の隙間にたまった泥の中に根や地下茎がどうしても残り、そこから再生するので、繰り返し摘み取る必要があります。その付近にはやはり希少植物であるミクリの仲間が生えているので、その生育可能エリアを狭めているオオカワヂシャの除草も行いました。ゴミも拾ったので、作業をしたエリアは在来植物にとってだけでなく、岸辺から眺める人々にとっても、気持ちの良い川になったと思います。

その後も岸などからカワヂシャを探したところ、夕やけ橋から三鷹台の京王線鉄橋までの間で、さらに9株のカワヂシャが見つかっています。たったの計19株では、川を覆いつくしているオオカワヂシャに対してじつに心許ない数ですが、今後もオオカワヂシャの防除を続ければ、復活の可能性はあると思っています。

 

 

名草の芽

A

公園内を見て回ったら、当会で保護活動をしている植物が芽を出していました。春が来たのを実感するときです。そのうちの6種類を載せてみましたが、植物の名前がお分かりでしょうか。花を見れば分かる人でも、芽生えは難しいと思います。でも、それらを一年中見守り、世話をしている我々には分かります。

B

ある植物を保護するには、そのライフサイクルを知ることが必要です。生長の各段階に何が必要で、どんなことが障害になるのか分かるからです。

 

花を見て名前が分かっても、その植物を分かったことにはなりません。ライフサイクルを知って初めて、その植物を分かったことになるのだと思います。そしてそうなると、芽吹きがとても嬉しく思えるのです。

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ライフサイクルを知ることが重要なのは、防除しようとする外来植物も同じです。なぜ侵略的と言われるほど強いのか、その優れた能力が理解できます。そしてそれでも、弱点が無いわけではないことも分かります。

これら6種類の在来植物の名前はそのうち書きたいと思いますが、各写真のファイル名を見られる人には分かります。

D
E
F

 

年度最後の活動

今日は2018年度最後の活動日です。亜大富士山クラブから、かんさつ会メンバーより多くの参加がありました。今日が最後の参加になる四年生も二人来てくれました。その後を継ぐことになる三年生に我々が何を保全しようとしているのか理解を深めてもらうため、最近はできるだけ自然を観察しながら活動することを心がけています。前回は三角広場まで行き、その周辺に分布を広げている結実型のトキワツユクサなどの外来植物を除草しました。今回は、寒い日で花見客が心配したほどいなかったので、井の頭池の周りを見て歩きました。

ナガミヒナゲシを除草

本日のメインミッションは、池尻の園路脇を占拠していた外来種ナガミヒナゲシを除草し、そこに、となりの保護エリアで保護している在来種キランソウの一部を移植することでした。ナガミヒナゲシは、好きな人も多いのですが、それこそ”ケシ粒のような” 微小な種を大量に撒き散らして広がるので、道ばたに他の草が生えられなくなるのです。これまで除草に取り組むのを躊躇していたのですが、10人でやってみたら、あっという間でした。

移植したキランソウ

今後は、移植したキランソウを守るために、埋土種子から芽生えてくるナガミヒナゲシを除去し続ける活動が必要です。

亜大富士山クラブは、授業で保全活動に参加したのがきっかけになり、今の四年生により設立され、それに三年生も加わって、当会の保全活動に協力してくれるようになりました。2019年度もその活動が新四年生にしっかり引き継がれることになったのは、我々としても嬉しいかぎりです。

池と川のつながり

堰の横壁を登るエビ

暖かかった今夜、スジエビやシナヌマエビが水門橋の堰をよじ登っているのが見られました。この堰より上流が井の頭池で、下流が神田川です。エビたちは川から池へ遡上しているのです。たとえばスジエビは、メスがお腹に抱えていた卵を放出するとき孵化します。孵化したばかりの幼生は浮遊するプランクトンなので、そのうちのかなりの割合が井の頭池から神田川に流下するはずです。そして川で成長したものが、ふたたび井の頭池へと遡上してくるのでしょう。

しかし、神田川にはこの堰だけでなく、夕やけ橋の下流には落差1mほどの滝(落差工)があり、もっと下流にも遡上の障害になる地形があります。本当にそのような障害を乗り越えられるのでしょうか。どれぐらいの数のスジエビが遡上してくるのか調べるため、昨年の7月の夕方、水門橋の上流側に張り網を下流側へ向けて設置しました。翌朝の活動時にチェックしたら、753匹ものスジエビが入っていました。張り網の周囲には隙間があるので、くぐり抜けて上流へ向かったものや、上流から来て網に入ったものがいる可能性もありますが、たくさんのスジエビが遡上してきていることが分かりました。我々が想像していなかった数ですが、写真のような光景を目撃すると頷けます。

井の頭池と神田川を行き来するのはスジエビだけではありません。クロダハゼも堰をよじ登っているのを見かけるし、時々池で見つかるモクズガニやウナギも、それらの生態からすると、神田川から遡上してきているはずです。かいぼり後に池で見られるようになったオイカワも、神田川で見かけるようになった数年後に池で見つかったので、流れ落ちる水を泳ぎ切って遡上したのだと思います。望ましくないほうでは、外来種のシナヌマエビやアメリカザリガニ、ミシシッピアカミミガメなども遡上して、あるいは陸上を歩いて池にやってきます。しかし、いちばん来てほしくないオオクチバスとブルーギルは、滝や堰に阻まれて遡上してこれないようで、だからこそ、かいぼりをする意味があるのです。

神田川のオオフサモ駆除

1月25日の記事に書いた、神田川の特定外来植物オオフサモの駆除を実施しました。参加者は河川管理者の東京都北多摩南部建設事務所の職員2名、受託業者の作業員4名、亜大富士山クラブ3名、そして井の頭かんさつ会7名です。

オオフサモの駆除は重労働でした

生えている場所がまだ少ないので、これだけの人数がいれば楽勝だと思っていたのですが、作業を始めてすぐに、想像よりはるかに大変な作業だと分かりました。オオフサモは三面護岸の川の縁に堆積した土に生えているのですが、土の中に根と地下茎をびっしり張り巡らせているため、土ごと剥ぎ取らないと駆除できないのです。かなりの力仕事になりました。しかも茎はプチプチ切れやすく、断片ができて下流へと流れていきます。下流で根付くといけないので、作業場所の下流側に網を設置して、流れてくる断片を受け止めました。

土の中に潜り込んでいたザリガニ

皆がもうひとつ驚いたのが、広いとは言えないその土の中から、107匹ものアメリカザリガニが見つかったことです。放っておけば、井の頭池へ遡上するものもいることでしょう。学生たちは、丸石の間に残っていたオオフサモの断片とザリガニを丹念に探してくれました。

駆除したオオフサモ(午前の分)

昼食休憩を除く実質3時間で、予定の作業を完了できました。川に落ちていた空き缶、空き瓶、プラスチックなどのゴミもかなりの範囲で拾いました。除草したオオフサモの量は、私が思っていた量の3~4倍もありました。

オオフサモ駆除後

管理者の素早い対応、業者作業員のプロらしい仕事ぶり、学生たちの若いパワー、そして当会メンバーの経験がうまく噛み合った活動でした。オオフサモの繁殖力の凄さを実感して、手が付けられないほど広がる前に発見し駆除できて本当に良かったと思います。

神田川には、やはり特定外来生物に指定されているオオカワヂシャが以前から繁茂しています。芽生えて間もなく、在来希少種のカワヂシャとの識別が困難なため、今回は駆除しませんでした。もう少し生長して識別できるようになったら駆除を実施したいと考えています。ゴミをまだ拾えていない場所も残っています。神田川上流部を良くする活動は今後も続きます。(Toshi)

神田川の特定外来生物

12月19日のオオフサモ

井の頭池から流れ下る神田川に、外来生物法で「特定外来生物」に指定されている水草オオフサモが広がり始めていることに、12月に気づきました。神田川上流部には井の頭池や玉川上水とは違う面白い生態系があるので、しばしば自然観察をしていた場所なのですが、今年は酷暑でほとんど見に行かなかったため、気づくのが遅れました。特定外来生物に指定されている植物は繁殖力がとても強く、増えた時の被害も甚大です。まだ分布が小さいうちに駆除すべきです。

神田川に関わりのある知人に教えてもらい、管理者である北多摩南部建設事務所(略称:北南建)に連絡しました。「井の頭公園で外来植物の駆除活動をしている我々もできることは手伝いますので、駆除しましょう」とです。反応は期待以上に速く、業者との契約が済んだら、(我々の)アドバイスをもらって駆除します、と言ってもらえました。そして今日、駆除作業の実施日が決りました。参加予定者は、北南建の職員、業者の作業員、当会メンバー、そして亜大富士山クラブの学生さんたちです。

三度のかいぼりの結果、井の頭池の水がきれいになり、神田川にも澄み切った水が流れるようになりました。それなのに、川には空き缶やビニールなどのゴミがかなり落ちています。人手に余裕がありそうなので、オオフサモの駆除の邪魔にならなければ、ゴミ拾いもして、気持ちの良い川にしたいです。

じつは、神田川には以前から、やはり特定外来生物に指定されているオオカワヂシャが繁茂しているのですが、有効な対策は取られて来なかったようです。たぶんそのせいで、10年近く前までは確かにあった在来種カワヂシャを見かけなくなってしまいました。まだ生き残っている場所があるという話もあるので、オオカワヂシャの駆除とカワヂシャの保護もやりたいです。今後は、他の団体とも協力して、できるだけ多くの人の手で神田川を良くしていければと思っています。(Toshi)

冬の外来種除草

冬は外来植物を駆除する好機です。その勢いが弱まっている上、他の草が邪魔にならないので、除草すべき外来植物を見つけやすく、作業もしやすいからです。蚊などの害虫もいません。

掘り取ったブタナ

写真は、今後の全体活動で除草する場所を見て回ったついでに、一箇所で掘り取ったブタナのロゼット(注)115株と、他の場所で掘り取ったアメリカオニアザミ1株です。

タンポポにちょっと似ているブタナは凶悪なアメリカオニアザミと比べると可憐な草花ですが、繁殖力はとても強く、放っておくと、種子を風でどんどん散布し、一面に広がってしまいます。今回除草した場所を「ブタナのホットスポット」と呼んでいるのですが、たくさんの種子が吹き溜まって土中で眠っているらしく、除草しても次々に芽生えてきます。我々は昨年、西園野球場の周りにアメリカオニアザミやブタナが多数生えているのに気づき、除草を始めたのですが、もう一年遅かったら、このようなホットスポットがあちこちにできてしまい、手遅れになっていたと思っています。侵略的な外来種の駆除は、実害が出ていなくても、侵入に気づいたらすぐに始めることが重要です。

ところで最近、自分の判断で井の頭公園内の草を勝手に除草する人が少なからずいるようです。良かれと思ってのことでしょうが、たとえ害のある植物でも、無許可で動植物を採取することは東京都公園条例で禁止されていますので、やめてください。公園管理者も、状況が把握できないので困ると思います。我々は、公園管理者の許可を得て、それを示す腕章をして、外来植物の駆除をしています。また、その結果を管理課、および毎月の「井の頭外来生物問題協議会」に報告しています。

(注)ロゼット 草が主に冬の間、地面に平たく葉を広げている状態のこと。バラの花に感じが似ているのでこの呼び名がある。風を避け、陽光を効率よく受けて光合成し、できた栄養を根に蓄えて、春以降の生長に備える。

保護エリアの草刈り

除草開始時

本日の活動のメインは、写真の場所の草刈りでした。井の頭公園ではここでしか見られなくなった希少な在来野草を保護するために、春から秋にかけての定例の草刈りをしないようお願いし、自分たちで外来植物の除草などの世話をしてきたエリアです。もっと広い範囲で見ればものすごく希少な植物というわけではないのですが、同じエリアにあったもっと希少な植物が今年盗掘されてしまったので、ネット上では植物名を伏せておきます。貴重な植物が消える大きな原因が、草刈りと盗掘です。これまでは、その植物の地上部が枯れてから、公園の園芸職員に機械で草刈りをしていただいていました。地面まで日光が届かないと、春に芽生えられなくなるからです。しかし、先日植物調査をしたところ、78種が確認され、保護したい在来植物や、丁寧に除草すべき外来植物もあることが分かったため、今年は自分たちで種類を識別しながら手作業で草刈りをすることにしたのです。

除草終了時

池のザリガニワナの撤収を済ませた班も途中から合流し、3団体、総勢17名で、外来植物の除草と枯れた在来野草の草刈りに取り組んだ結果、2時間半ほどで予定を完了できました。新たに3種類の在来植物も見つかりました。

来年の春には、保護対象の植物を始め、いろいろな植物が芽生えるはずです。外来植物など、このエリアにふさわしくない植物の除草も必要になります。保護対象の植物だけを保護するのでなく、それが生える草地を保全したいと考えています。

連係プレー

ワナを川で洗って撤収

ひょうたん池に常設していたザリガニワナ、二種類計9基を12月8日(土)の保全活動時にすべて撤収しました。今年度の池の活動は終了で、再びワナを設置するのは、来年度4月になってからの予定です。

井の頭かんさつ会がザリガニワナを設置しているのは井の頭池の一角、ひょうたん池です。その小さな池に今年度は最大10基のワナを設置し、計574匹のアメリカザリガニを駆除しました。下表はこれまでの捕獲数です。

ザリガニ捕獲数
年度 捕獲数(匹) 備考
2018 574 前年度冬に
かいぼり29
2017 4,682
2016 3,052 前年度冬に
かいぼり27
2015 3,021
2014 5,280 前年度冬に
かいぼり25
2013 13 ワナ常設せず

ザリガニが多いときほどワナを増やして捕獲を頑張るので、この捕獲結果が池での生息数に比例しているわけでは必ずしもありませんが、今年度は前年度以前よりザリガニが大幅に減ったのは確実です。

井の頭池の他のエリアでは、井の頭かいぼり隊が今年は200基ほどのワナを設置してザリガニ駆除をしています。協議会での報告によると、今年度は当会が捕獲した数の約6.4倍のザリガニを捕獲したそうです。捕獲総数では敵いませんが、我々の捕獲数はワナの数の割には多いと思います。水深が浅いひょうたん池はザリガニが好む環境である上に、我々がワナをほぼ毎日チェックしているからでしょう。ワナの入り口は入りやすく出にくい形状ですが、脱出するものもいるのです。

今年度ザリガニが減ったのは井の頭かいぼり隊と井の頭かんさつ会がザリガニ駆除を頑張ったから、と言いたいところですが、それだけでは、今年急に減った理由の説明にはなりません。私は、池に増えた在来生物の活躍も大きいと考えています。かいぼり後にはザリガニが増えるのが常ですが、在来の小魚も増えます。そしてそれらを餌にするカイツブリが何組もやってきて子育てをし、多くのヒナを誕生させました。2016年度の冬にはじつに多くの稚ザリガニがいたのですが、2017年度にはカイツブリたちがせっせと小さなザリガニを食べました。私が観察した時は、捕ってくる生き物の半分以上が小さなザリガニでした。ナマズやハゼ類、そしてたぶんギンブナも、親から離れて間もない稚ザリガニをよく食べます。春にはたくさん獲れたザリガニでしたが、夏ごろにはあまり獲れなくなりました。そして、かいぼり29後の2018年度もザリガニはあまり増えなかったのです。つまり、稚ザリガニを在来魚たちが、小さなザリガニをカイツブリが、そして大きなザリガニを人間がせっせと駆除した結果、井の頭池のザリガニが激減した、というのが私の説です。

生き物たちと人間との連係プレーはとても有効です。でも、もしそのうちのどれかがザリガニを獲るのをやめたら、ザリガニは再び数を回復するでしょう。(Toshi)

トキワツユクサ結実型 除草

今日の保全活動の最後に、公園の一角の外来植物トキワツユクサ(結実型)を除草しました。トキワツユクサには、種子ができない非結実型と、種子ができる結実型があります。茎を延ばして広がる能力は非結実型のほうが高く、井の頭公園でも各所に繁茂しています。我々もこれまでは重要な場所の非結実型を優先的に除草してきました。しかし、結実型は埋土種子を作るため、除草してもしつこく芽生えてくるので、完全駆除は非結実型よりはるかに困難です。広がる前に駆除することが重要なので、除草を行いました。今回の場所では想像していたより広がっていたので驚きました。