名草の芽

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公園内を見て回ったら、当会で保護活動をしている植物が芽を出していました。春が来たのを実感するときです。そのうちの6種類を載せてみましたが、植物の名前がお分かりでしょうか。花を見れば分かる人でも、芽生えは難しいと思います。でも、それらを一年中見守り、世話をしている我々には分かります。

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ある植物を保護するには、そのライフサイクルを知ることが必要です。生長の各段階に何が必要で、どんなことが障害になるのか分かるからです。

 

花を見て名前が分かっても、その植物を分かったことにはなりません。ライフサイクルを知って初めて、その植物を分かったことになるのだと思います。そしてそうなると、芽吹きがとても嬉しく思えるのです。

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ライフサイクルを知ることが重要なのは、防除しようとする外来植物も同じです。なぜ侵略的と言われるほど強いのか、その優れた能力が理解できます。そしてそれでも、弱点が無いわけではないことも分かります。

これら6種類の在来植物の名前はそのうち書きたいと思いますが、各写真のファイル名を見られる人には分かります。

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年度最後の活動

今日は2018年度最後の活動日です。亜大富士山クラブから、かんさつ会メンバーより多くの参加がありました。今日が最後の参加になる四年生も二人来てくれました。その後を継ぐことになる三年生に我々が何を保全しようとしているのか理解を深めてもらうため、最近はできるだけ自然を観察しながら活動することを心がけています。前回は三角広場まで行き、その周辺に分布を広げている結実型のトキワツユクサなどの外来植物を除草しました。今回は、寒い日で花見客が心配したほどいなかったので、井の頭池の周りを見て歩きました。

ナガミヒナゲシを除草

本日のメインミッションは、池尻の園路脇を占拠していた外来種ナガミヒナゲシを除草し、そこに、となりの保護エリアで保護している在来種キランソウの一部を移植することでした。ナガミヒナゲシは、好きな人も多いのですが、それこそ”ケシ粒のような” 微小な種を大量に撒き散らして広がるので、道ばたに他の草が生えられなくなるのです。これまで除草に取り組むのを躊躇していたのですが、10人でやってみたら、あっという間でした。

移植したキランソウ

今後は、移植したキランソウを守るために、埋土種子から芽生えてくるナガミヒナゲシを除去し続ける活動が必要です。

亜大富士山クラブは、授業で保全活動に参加したのがきっかけになり、今の四年生により設立され、それに三年生も加わって、当会の保全活動に協力してくれるようになりました。2019年度もその活動が新四年生にしっかり引き継がれることになったのは、我々としても嬉しいかぎりです。

池と川のつながり

堰の横壁を登るエビ

暖かかった今夜、スジエビやシナヌマエビが水門橋の堰をよじ登っているのが見られました。この堰より上流が井の頭池で、下流が神田川です。エビたちは川から池へ遡上しているのです。たとえばスジエビは、メスがお腹に抱えていた卵を放出するとき孵化します。孵化したばかりの幼生は浮遊するプランクトンなので、そのうちのかなりの割合が井の頭池から神田川に流下するはずです。そして川で成長したものが、ふたたび井の頭池へと遡上してくるのでしょう。

しかし、神田川にはこの堰だけでなく、夕やけ橋の下流には落差1mほどの滝(落差工)があり、もっと下流にも遡上の障害になる地形があります。本当にそのような障害を乗り越えられるのでしょうか。どれぐらいの数のスジエビが遡上してくるのか調べるため、昨年の7月の夕方、水門橋の上流側に張り網を下流側へ向けて設置しました。翌朝の活動時にチェックしたら、753匹ものスジエビが入っていました。張り網の周囲には隙間があるので、くぐり抜けて上流へ向かったものや、上流から来て網に入ったものがいる可能性もありますが、たくさんのスジエビが遡上してきていることが分かりました。我々が想像していなかった数ですが、写真のような光景を目撃すると頷けます。

井の頭池と神田川を行き来するのはスジエビだけではありません。クロダハゼも堰をよじ登っているのを見かけるし、時々池で見つかるモクズガニやウナギも、それらの生態からすると、神田川から遡上してきているはずです。かいぼり後に池で見られるようになったオイカワも、神田川で見かけるようになった数年後に池で見つかったので、流れ落ちる水を泳ぎ切って遡上したのだと思います。望ましくないほうでは、外来種のシナヌマエビやアメリカザリガニ、ミシシッピアカミミガメなども遡上して、あるいは陸上を歩いて池にやってきます。しかし、いちばん来てほしくないオオクチバスとブルーギルは、滝や堰に阻まれて遡上してこれないようで、だからこそ、かいぼりをする意味があるのです。