キショウブ駆除

キショウブ除去(6月19日)

6月19日から神田川のキショウブの駆除を始めました。種子や根茎は上流から下流へと流れていくので、駆除は上流側から進めます。井の頭池畔のキショウブ群落はすでに井の頭かいぼり隊が除去してくれています。我々は神田川の源流部、井の頭公園駅付近の二つの群落から始めました。川の縁に溜まった柔らかな泥に生えていたので、思っていたより簡単に抜き取れました。

キショウブの根茎

夕やけ橋近くの群落には、ハナショウブが混じっています。誰かが植えた園芸種ですが、繁殖力は強くなさそうなので、それは残します。しかし、その識別が簡単ではないことが分かりました。葉の特徴はとても似ています。以前花ガラを切除した痕と、根茎の違いでキショウブを識別しました。キショウブの根茎は太く長く伸びて地中を這っています。栄養がたっぷり蓄えられていそうです。多分それが、キショウブのすごい繁殖力の理由のひとつなのだと思います。

回収上限に達して終了(6月26日)

 

神田川の管理者である北多摩南部建設事務所(略称:北南建)は府中市にあるため、除草量が多くないと、ゴミ処理業者を派遣してくれません。我々が井の頭池の活動のついでに除草できる量では回収に来てくれないのです。そこで、地元自治体である三鷹市のゴミ対策課に相談したところ、縦割り行政の壁を超えて、少量なら家庭ゴミの回収時に回収してもらえることになりました。しかし逆に、その量には上限があるため、一度に除草できる量は限られます。市民ボランティアの良いところは、少しずつでも繰り返し活動できることで、外来植物の駆除ではとても大事なことです。気長に駆除を進めるつもりです。

 

 

百年森 三回目の除草活動

6月22日(土)、井の頭かんさつ会と井の頭 自然の会の合同活動として、計10名で「百年森」の除草作業を実施しました。4月には更地だった場所ですが、いろいろな植物が芽生え生長してきたので、望ましくない植物を見分けて取り除く作業です。

除草作業中

三回目の除草なので、これまでとても多かった、ナガミヒナゲシ、アメリカセンダングサ、ヨウシュヤマゴボウなどの外来植物はだいぶ少なくなっていました。それでも前回見逃したり、その後に芽生えたものを丁寧に除草しました。こんなに外来植物が多いのは、管理ヤードだった時に公園のあちこちから持って来られ積み上げられていた土を、この場所を整地するとき敷き均したからです。その土の中におびただしい数の埋土種子が含まれていたわけで、井の頭公園にはそれだけ外来植物がたくさん生えているということです。

今回はカナムグラを減らす作業も行いました。カナムグラは在来植物ですが、つるを伸ばしてどんどん広がるので、他の植物が生えられるよう、カナムグラが生える範囲を制限しなければなりません。実際のところ、その作業のほうが外来植物の除草より大変でした。

増えてきた虫を観察

植物が次々にしかも大量に芽生えてきたときはどうなることかと思いましたが、何度か除草を繰返せば落ち着くことが分かりました。草が生えると、それを食べる虫が増え、虫が増えると、それを食べる生き物もやってきます。今後も、生き物たちにとって望ましい環境とはどんなものかを考えながら、除草作業を続けるつもりです。

 

 

オオフサモ摘み取り

オオフサモ摘み取り(6月5日)

2月13日(水)に駆除を実施した特定外来生物オオフサモが復活してきたので、6月1日(土)と5日(水)の二回に分けて、摘み取りを実施しました。固定された丸石の隙間の泥に根茎が残っているため、完全駆除は困難です。そこから伸びてきたものを繰り返し摘み取り、衰退させる作戦です。じつは4月29日にも再生してきたのを摘み取っているので、三度目の除草です。発見が比較的早ければ、除草量は少しで済みます。

摘み取ったオオフサモ(6月5日)

2月13日と比べるとだいぶ楽な作業でしたが、もう少し早いと衰退させる効果がもっとあったかもしれません。ただ、夏は周りの草も茂るので、オオフサモが再生してきていないか調べるのは大変です。1ヶ月に一度ほど見まわり、再生していたら除草すれば、広がるのを抑えられると思います。

なお、オオフサモは特定外来生物なので、駆除したものを不用意に運ぶと、かえって他の場所に広げてしまう恐れがあるだけでなく、外来生物法違反で処罰される可能性もあります。許可を得た上で規則に則って適切に処分することが必要です。

 

神田川のキショウブ

鮮やかな黄色の花を咲かせる、キショウブというアヤメ科の植物をご存知でしょうか。ヨーロッパから西アジアが原産で、明治時代に園芸植物として日本に持ち込まれたそうです。あちこちに植えられているので、見たことがある人は多いと思います。しかし、それが「重点対策外来種」に指定されている侵略的な外来植物であることを理解している人はまだ少ないようです。

神田川に定着したキショウブの例(5月15日)

井の頭池と神田川を見れば、それが侵略的であることは疑いようがありません。井の頭池の一角と神田川の夕やけ橋近くの群落は人が植えたものですが、それより下流に分布しているものは、流下した種子や根茎から芽生えて定着したものです。源流部から丸山橋までを5月15日に調査したところ、花を咲かせている群落だけで11ヶ所ありました。まだ花を咲かせていない株も複数見つかりました。このまま放置すると、カワヂシャ、サジオモダカ、ミクリなどの希少水生植物が生えられる場所が減ってしまいそうです。

切除した花ガラ(種子が実る前の子房)(6月1日)

そこでキショウブの駆除に乗り出すことにしたのですが、河川管理者の了解は得られたものの、駆除したもの(毎回少量づつ)を引き取ってもらう方法が見つからなかったため、とりあえず、さらに分布が広がらないよう、11ヶ所を4回に分けて、種子が実る前に花ガラを切除することから始めました。写真はそのうちの1回のものです。

今後キショウブを処分する方法が見つかったら、キショウブ本体の駆除に乗り出すつもりです。(Toshi)

神田川の希少植物探し

除草作業
豪雨の中、ずぶ濡れで作業しました

4月24日に二回目の神田川での活動を実施しました。一回目の2月13日時点では識別不能だった、希少在来植物「カワヂシャ」と、特定外来生物「オオカワヂシャ」が識別ができるほど生長したからです。カワヂシャを見つけ、その生育を妨げているオオカワヂシャを少しでも多く除草するのが、この日のミッションです。河川管理者の北多摩南部建設所(北南建)が多忙で動けなかったため、作業は井の頭かんさつ会の7名だけで実施し、除草した草と拾ったゴミを翌日北南建に回収してもらうことになりました。

オオカワヂシャの中のカワヂシャ
カワヂシャはこのうち1株のみです

ところが、開始間もなく降り始めた雨がすぐに豪雨になったため、予定していた作業の一部しか実施できませんでした。それでも、事前の岸からの調査では3株しか見つかっていなかったカワヂシャを新たに7株見つけました。

また、2月13日にオオフサモを駆除した場所にオオフサモが再び芽生えてきていたので、除去しました。丸石の隙間にたまった泥の中に根や地下茎がどうしても残り、そこから再生するので、繰り返し摘み取る必要があります。その付近にはやはり希少植物であるミクリの仲間が生えているので、その生育可能エリアを狭めているオオカワヂシャの除草も行いました。ゴミも拾ったので、作業をしたエリアは在来植物にとってだけでなく、岸辺から眺める人々にとっても、気持ちの良い川になったと思います。

その後も岸などからカワヂシャを探したところ、夕やけ橋から三鷹台の京王線鉄橋までの間で、さらに9株のカワヂシャが見つかっています。たったの計19株では、川を覆いつくしているオオカワヂシャに対してじつに心許ない数ですが、今後もオオカワヂシャの防除を続ければ、復活の可能性はあると思っています。

 

 

名草の芽

A

公園内を見て回ったら、当会で保護活動をしている植物が芽を出していました。春が来たのを実感するときです。そのうちの6種類を載せてみましたが、植物の名前がお分かりでしょうか。花を見れば分かる人でも、芽生えは難しいと思います。でも、それらを一年中見守り、世話をしている我々には分かります。

B

ある植物を保護するには、そのライフサイクルを知ることが必要です。生長の各段階に何が必要で、どんなことが障害になるのか分かるからです。

 

花を見て名前が分かっても、その植物を分かったことにはなりません。ライフサイクルを知って初めて、その植物を分かったことになるのだと思います。そしてそうなると、芽吹きがとても嬉しく思えるのです。

C

ライフサイクルを知ることが重要なのは、防除しようとする外来植物も同じです。なぜ侵略的と言われるほど強いのか、その優れた能力が理解できます。そしてそれでも、弱点が無いわけではないことも分かります。

これら6種類の在来植物の名前はそのうち書きたいと思いますが、各写真のファイル名を見られる人には分かります。

D
E
F

 

年度最後の活動

今日は2018年度最後の活動日です。亜大富士山クラブから、かんさつ会メンバーより多くの参加がありました。今日が最後の参加になる四年生も二人来てくれました。その後を継ぐことになる三年生に我々が何を保全しようとしているのか理解を深めてもらうため、最近はできるだけ自然を観察しながら活動することを心がけています。前回は三角広場まで行き、その周辺に分布を広げている結実型のトキワツユクサなどの外来植物を除草しました。今回は、寒い日で花見客が心配したほどいなかったので、井の頭池の周りを見て歩きました。

ナガミヒナゲシを除草

本日のメインミッションは、池尻の園路脇を占拠していた外来種ナガミヒナゲシを除草し、そこに、となりの保護エリアで保護している在来種キランソウの一部を移植することでした。ナガミヒナゲシは、好きな人も多いのですが、それこそ”ケシ粒のような” 微小な種を大量に撒き散らして広がるので、道ばたに他の草が生えられなくなるのです。これまで除草に取り組むのを躊躇していたのですが、10人でやってみたら、あっという間でした。

移植したキランソウ

今後は、移植したキランソウを守るために、埋土種子から芽生えてくるナガミヒナゲシを除去し続ける活動が必要です。

亜大富士山クラブは、授業で保全活動に参加したのがきっかけになり、今の四年生により設立され、それに三年生も加わって、当会の保全活動に協力してくれるようになりました。2019年度もその活動が新四年生にしっかり引き継がれることになったのは、我々としても嬉しいかぎりです。

池と川のつながり

堰の横壁を登るエビ

暖かかった今夜、スジエビやシナヌマエビが水門橋の堰をよじ登っているのが見られました。この堰より上流が井の頭池で、下流が神田川です。エビたちは川から池へ遡上しているのです。たとえばスジエビは、メスがお腹に抱えていた卵を放出するとき孵化します。孵化したばかりの幼生は浮遊するプランクトンなので、そのうちのかなりの割合が井の頭池から神田川に流下するはずです。そして川で成長したものが、ふたたび井の頭池へと遡上してくるのでしょう。

しかし、神田川にはこの堰だけでなく、夕やけ橋の下流には落差1mほどの滝(落差工)があり、もっと下流にも遡上の障害になる地形があります。本当にそのような障害を乗り越えられるのでしょうか。どれぐらいの数のスジエビが遡上してくるのか調べるため、昨年の7月の夕方、水門橋の上流側に張り網を下流側へ向けて設置しました。翌朝の活動時にチェックしたら、753匹ものスジエビが入っていました。張り網の周囲には隙間があるので、くぐり抜けて上流へ向かったものや、上流から来て網に入ったものがいる可能性もありますが、たくさんのスジエビが遡上してきていることが分かりました。我々が想像していなかった数ですが、写真のような光景を目撃すると頷けます。

井の頭池と神田川を行き来するのはスジエビだけではありません。クロダハゼも堰をよじ登っているのを見かけるし、時々池で見つかるモクズガニやウナギも、それらの生態からすると、神田川から遡上してきているはずです。かいぼり後に池で見られるようになったオイカワも、神田川で見かけるようになった数年後に池で見つかったので、流れ落ちる水を泳ぎ切って遡上したのだと思います。望ましくないほうでは、外来種のシナヌマエビやアメリカザリガニ、ミシシッピアカミミガメなども遡上して、あるいは陸上を歩いて池にやってきます。しかし、いちばん来てほしくないオオクチバスとブルーギルは、滝や堰に阻まれて遡上してこれないようで、だからこそ、かいぼりをする意味があるのです。

神田川のオオフサモ駆除

1月25日の記事に書いた、神田川の特定外来植物オオフサモの駆除を実施しました。参加者は河川管理者の東京都北多摩南部建設事務所の職員2名、受託業者の作業員4名、亜大富士山クラブ3名、そして井の頭かんさつ会7名です。

オオフサモの駆除は重労働でした

生えている場所がまだ少ないので、これだけの人数がいれば楽勝だと思っていたのですが、作業を始めてすぐに、想像よりはるかに大変な作業だと分かりました。オオフサモは三面護岸の川の縁に堆積した土に生えているのですが、土の中に根と地下茎をびっしり張り巡らせているため、土ごと剥ぎ取らないと駆除できないのです。かなりの力仕事になりました。しかも茎はプチプチ切れやすく、断片ができて下流へと流れていきます。下流で根付くといけないので、作業場所の下流側に網を設置して、流れてくる断片を受け止めました。

土の中に潜り込んでいたザリガニ

皆がもうひとつ驚いたのが、広いとは言えないその土の中から、107匹ものアメリカザリガニが見つかったことです。放っておけば、井の頭池へ遡上するものもいることでしょう。学生たちは、丸石の間に残っていたオオフサモの断片とザリガニを丹念に探してくれました。

駆除したオオフサモ(午前の分)

昼食休憩を除く実質3時間で、予定の作業を完了できました。川に落ちていた空き缶、空き瓶、プラスチックなどのゴミもかなりの範囲で拾いました。除草したオオフサモの量は、私が思っていた量の3~4倍もありました。

オオフサモ駆除後

管理者の素早い対応、業者作業員のプロらしい仕事ぶり、学生たちの若いパワー、そして当会メンバーの経験がうまく噛み合った活動でした。オオフサモの繁殖力の凄さを実感して、手が付けられないほど広がる前に発見し駆除できて本当に良かったと思います。

神田川には、やはり特定外来生物に指定されているオオカワヂシャが以前から繁茂しています。芽生えて間もなく、在来希少種のカワヂシャとの識別が困難なため、今回は駆除しませんでした。もう少し生長して識別できるようになったら駆除を実施したいと考えています。ゴミをまだ拾えていない場所も残っています。神田川上流部を良くする活動は今後も続きます。(Toshi)

神田川の特定外来生物

12月19日のオオフサモ

井の頭池から流れ下る神田川に、外来生物法で「特定外来生物」に指定されている水草オオフサモが広がり始めていることに、12月に気づきました。神田川上流部には井の頭池や玉川上水とは違う面白い生態系があるので、しばしば自然観察をしていた場所なのですが、今年は酷暑でほとんど見に行かなかったため、気づくのが遅れました。特定外来生物に指定されている植物は繁殖力がとても強く、増えた時の被害も甚大です。まだ分布が小さいうちに駆除すべきです。

神田川に関わりのある知人に教えてもらい、管理者である北多摩南部建設事務所(略称:北南建)に連絡しました。「井の頭公園で外来植物の駆除活動をしている我々もできることは手伝いますので、駆除しましょう」とです。反応は期待以上に速く、業者との契約が済んだら、(我々の)アドバイスをもらって駆除します、と言ってもらえました。そして今日、駆除作業の実施日が決りました。参加予定者は、北南建の職員、業者の作業員、当会メンバー、そして亜大富士山クラブの学生さんたちです。

三度のかいぼりの結果、井の頭池の水がきれいになり、神田川にも澄み切った水が流れるようになりました。それなのに、川には空き缶やビニールなどのゴミがかなり落ちています。人手に余裕がありそうなので、オオフサモの駆除の邪魔にならなければ、ゴミ拾いもして、気持ちの良い川にしたいです。

じつは、神田川には以前から、やはり特定外来生物に指定されているオオカワヂシャが繁茂しているのですが、有効な対策は取られて来なかったようです。たぶんそのせいで、10年近く前までは確かにあった在来種カワヂシャを見かけなくなってしまいました。まだ生き残っている場所があるという話もあるので、オオカワヂシャの駆除とカワヂシャの保護もやりたいです。今後は、他の団体とも協力して、できるだけ多くの人の手で神田川を良くしていければと思っています。(Toshi)